FC2ブログ

W.A.モーツァルト/J.ブラームス : クラリネット五重奏曲/ウラッハ/プリンツ/ライスター

W.A.モーツァルト(1756-1791)による"シュタトラー"と呼ばれる「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」は1790年に作曲されています。
モーツァルトによる同作品は変ロ長調のものも"アレグロ"のみ残されK.追加番号91(516c)としてありますが、完成されなかった事が残念でなりません。

J.ブラームス(1833-1897)による「クラリネット五重奏曲 ロ短調 op.115」は1891年に作曲されています。
二曲ともそれぞれA.シュタトラー、ミュールフェルトという優れたクラリネット奏者との出会いにより誕生したとあります(引用 : クラシック音楽作品名辞典/三省堂)

今回はこの2曲がカップリングされて発売されている盤が多い事もあり、ここに同時に記そうと思います。

※各アルバムに張り付けてあるバラ飾りは"Oberholster VenitaによるPixabayからの画像"を使用させていただいてます。


ウラッハ/モーツァルト&ブラームス : クラリネット五重奏曲
レオポルト・ウラッハ(Cl)/ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 (1951・52年MONO録音)


プリンツ/モーツァルト&ブラームス : クラリネット五重奏曲
アルフレート・プリンツ(Cl)/ウィーン室内合奏団 (1979・80年録音)


ライスター/モーツァルト&ブラームス : クラリネット五重奏曲
カール・ライスター(Cl)/ベルリン・ゾリステン (1988年録音)

W.A.モーツァルトの「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」
ウラッハはウィーン・フィルでクラリネットの首席奏者を担っていた方で、この後のプリンツの先輩であり師でもありました。

その取り組みは非常に厳しく、また自分のスタイルを頑なに守ったとあります。
演奏中に待機している時は膝の上に寝かせて置くというのが当たり前だった時に彼は膝の上に立てて待機していたそうで、それを大指揮者に咎められた事もあったらしいですが、これが自分のスタイルだと主張し、最後には指揮者が折れたという話は有名です。

そんなウラッハのクラリネットは実に厳格なものなのだろうと思っていたら、ここに聴こえる音は優しく哀愁を漂わせ実に味わい深いのです。

クラリネットが時折見せる高音の耳に立つ響きを一度もこの演奏では聴いていません、終始実にまろやかで常に何かに思いを馳せているような人間味を感じるのです。

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏も気心知れたというか、何とも言えないハーモニーと情趣を醸しこの演奏の古さを吹き飛ばしてしまうというか、最近ではこういう趣の演奏は聴くことはなく、機動性に優れたキビキビと進むものが多いようにコンサートに行くたび感じるのです。

ですから、この演奏は私にとって特別安らぐものとなり、特に第2楽章は懐かしい想い出を全て蘇らせてくれる宝物なのです。

プリンツ盤でのウィーン室内合奏団のこの味のある音は特別素晴らしいと思います。
その音にのせて奏でられるプリンツのクラリネットは明るくまろやかで全体に溶け込む素晴らしいアンサンブルを聴かせます。

ウラッハ盤もプリンツ盤もこれがウィーン伝統の響きなのでしょうか、音の中に色のようなというか、香りのようなというか、独特の個性があるのです。

この個性を聴きたくてプリンツでは良い音で楽しみたい時、ウラッハは一人この作品に浸りたい時に引っ張り出してくる盤になっています。

ライスター盤は上記のウィーン風とは違った良さを持ち、ここにもウィーン・フィルとベルリン・フィルでの趣の違いという感じで楽しみの枠を広げてくれます。

ここでは、カチッとした構成とそれを支える奏者の実力と機動性の高さの打ち出されたモダンな演奏となっています。

この演奏の良い所は、作品そのものが見えてくる所、それも上質な表現によって。
ですから、感情的な味わいに浸りたいか、クッキリと見晴らしよくこの作品に触れたいかでそれぞれの良さがあるのだと思っています。

結局のところ「思います」とか、「感じます」とか、個人の感情を表す場合には断言して書けない難しさに直面している私ですがどうにか伝わりますように・・。


J.ブラームス「クラリネット五重奏曲 ロ短調 op.115」
ことブラームスに関しては作曲者の特徴である濃厚さが録音の古いウラッハ盤ではナローで分離の悪さにより音が膨れてしまいスッキリとしない厚ぼったさが気になってしまいます。

ここにも何度も記している通り、普段は演奏の質を音質より重視する私ですが、この作品に限ってはモーツァルトでは問題なかったのにとても気になる事が不思議です。

聴き進めていくとこの演奏が持つ本来の良さが窺える部分もあり(第2楽章など特に最高だと思えるくらい)実際は素敵な演奏だったのにとマスターの劣化の激しさを残念がるのです。

この曲には秋風のようなスッキリとした佇まいが必要だと感じる私はこの作品は音の抜けの良いもので聴きたいと思うのです。

その録音の古さによる残念な思いを救ってくれるのが、味わい深い哀愁を感じさせてくれるプリンツの演奏なのです。

私は第1楽章が特に好きなのですが、プリンツ盤では音が想いとなり大空に解放されて行くような、優しくも切ない趣が堪らなく好きなのです。

ウィーン室内合奏団の醸す木漏れ日のような響きも、そして音量バランスもこの作品にとてもピッタリとくると感じるのは私だけでしょうか・・。

ライスター盤は両曲ともクラリネットの音もベルリン・ゾリステンの音も、そして感情表出も素晴らしい演奏になっているのがさすがだと思います。

この演奏は先の二つと趣の違う演奏として、また上質のサロン音楽として楽しめるものだと思います。

まとめとして、カップリングされる事の多い作品に於いては楽器編成は同じでも趣の大きく異なるものの場合、演奏者もそのプログラム全体としての構成力が問われ、また録音エンジニアのセンスなども同時に問われるという再現芸術として独特の難しさがあるのだと思います。

それを踏まえた上で、<<現在のわたしにとって>>のモーツァルト「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」はウラッハ盤、ブラームス「クラリネット五重奏曲 ロ短調 op.115」はプリンツ盤、それらと趣が違い両作品とも素晴らしいドイツ的なライスター盤だと記しておきます。

今回の3枚は私が思い入れと共に吟味して選んだ基本として揺るがず、それを拡張して補うものとしてバセットClのもの、評判の高いS.マイヤーの演奏などを増やして行きたいと思っています。

コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

よしな

Author:よしな
記事や演奏は主にクラシックですが、自作品はかなり広範なものになっています

フリーエリア

ブログ村に参加しています
どうぞよろしくお願いいたします

フリーエリア